STORES Product Blog

こだわりを持ったお商売を支える「STORES」のテクノロジー部門のメンバーによるブログです。

自動化にこだわるのはエンジニアとして正しいあり方。CTOに聞いた生産性をあげるためにやっていること。【ep.9 #論より動くもの .fm】

CTO 藤村がホストするPodcast、論より動くもの.fmの第9回を公開しました。今回はCTO藤村が生産性をあげるためにやっていることについて話しました。

 

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テキストで読みたい方は下記からどうぞ。

パンを作るだけじゃなく、パンを作る機械も作る

藤村:みなさん、こんにちは、論より動くもの.fmです。論より動くもの.fmは、heyのCTO藤村が技術や技術にまつわるさまざまなことについてざっくばらんにお話しするPodcastです。今回はゲストに技術広報のえんじぇるさんを招いております。よろしくお願いします。

 

えん:よろしくお願いします。

 

藤村:今日は生産性について話したいというお題を受けたので、それについて話そうと思います。なんで生産性について聞きたいんですか?

 

えん:仕事をしてる中で効率よくアウトプットしていくには生産性が大事なんだけど、ぼーっとしてると1日は終わってしまって、あれ今日何したんだっけみたいな日がたまにあるじゃないですか。

 

藤村:ありますね。

 

えん:ないようには気をつけてはいるんですけど。生産性が悪い日もあってこれはどうしたらいいもんだろうなってよく考えるんで、藤村さんは生産性をどうやってあげているのか教えていただきたいです。

 

藤村:僕もずっと考えていたトピックではあって。僕のベースになっているのは、トラディショナルな製造業向けの生産性分析みたいなやつです。財務諸表分析の1ジャンルとしてあるんですよ。

例えば、僕らがパン屋だとして1日10個作れますっていうのを続けても1日10個しか作れないじゃないですか。これがあるとパン20個作れるという機械を、3日間パン作りを止めて作ったら、その後は倍になるじゃないですか。こういうのをどういうバランスでやっていくかが重要かなと思っています。

言い方を変えると、この先の自分の仕事のアウトプット量が長期的に増え続けるための仕事、これを設備投資と言ってもいいと思うんですけど、それを継続的にやるのが重要。

 

えん:設備投資って言葉、すごいわかりやすいですね。

 

藤村:そうそう、自分の生産性をあげるための設備を少しずつ積み上げていけるか、一定のペースで積み上げられていけるかで変わってくるかと思いますね。仕事をする時も、パン1個作る仕事とパン作りマシーンを作る仕事は両方やるようにしています。まあ僕もパツパツで、パンを作って終わりの日も結構多いんですけど、今日パン作りマシーンを全然メンテできなかったなって反省は常にあります。理想は設備投資の仕事に2、3割の時間を使うのが重要かなと思っていて、僕は基本的にそうしています。

例えば、エンジニアとして動いてるときはだいたい10時、11時ぐらいに仕事を始めるんですけど、最初の1時間、1時間半は中長期的な生産性に効果がある設備投資を行うことが多いですね。メインラインの仕事とサブラインの仕事を持って、サブラインの仕事を毎日ひとつずつやって、それを中長期に効くことにあてるのはずっとやってたかも。

 

えん:なるほど。

 

人間にしかできないことになるべく集中できるように意思決定を自動化する

えん:パン作りマシーン、これは作った方がいいなって判断するときの基準はあるんですか?

 

藤村:判断しないといけないことが増えるとき。これってAにしないといけないんだっけ?Bにしないといけないんだっけ?とか、これはこれで正しいんだっけ?と考えないといけないことを増やすのはよくないので、それをなるべく減らしたい。それに含まれるのかもしれないけど、やらないといけない仕事のステップが増えるものは減らしたいというのはありますね。意思決定、判断もやらないといけないステップのひとつだけど、その中でも特にこの意思決定のリソースは重要かなと思っている。

判断って色々な物で消耗するのでよくないんですよ。判断にも色んなステップがあって、最初は何か判断しないといけなさそう、なんかよくないんじゃないかと思って一旦、健康診断を受けに行く。健康診断を受けに行くだけでまず大変ですよね。

その後、健康診断の結果を受け取るじゃないですか。それを見て、何をやるかを決める。やばい、ビールは毎日飲まない方がいいなとか。このそれぞれのステップを人間がやらないといけなくて、各ステップに色んな脳のリソースを使わないといけないのは、無駄だと思っている。無駄というか、誰の言葉かは忘れたけど、人間が1日で意思決定できる数は有限みたいな話があって。とにかく判断力を消耗しないようにしたいんですよ。なので、健康診断を受けるのと、結果を受け取るのと、結果で何をするかっていうのが全部自動化できているとすごくいい。

一番最初のレベルって、診断も受けてない状態だと思うので、診断できるようにして、診断結果をSlackに流すみたいな、そういう自動化をするのは、生産性をあげる上ではとても重要。手数も減るし、その都度の意思決定のプロセス自体も短くなるし、判断しないといけないことも減るんで、楽になる。

結果を受け取ったあとにそのデータを元にやらなきゃいけないことが定型化されてるんだったら、定型化されてるものは自動で流れるようにできていると理想的。定型化できないとしても、フリーハンドで今こういう状況です、何かあったら何かやってねというオープンクエスチョンにしない。例えば、この数値が悪いので、対策が必要です、対策してください。対策が終わったら完了ボタンを押してね、とするだけで、やるべきかやらないべきかの判断は省略できるじゃないですか。なので、そういうのやれるといいですよね。

 

えん:会社の中にも無数のSlackのワークフローがあるじゃないですか。あれは、そういう判断をひとつずつ減らすためにみんな使ってるんだなって。そういうことかと今思えました。

 

藤村:ワークフローは人類の大発明だと思います。人間の有限な思考リソースを増やす道具なのでものすごく有用ですね。

余談ですけど、僕は科学とか技術が好きなんですよ。なんで好きかっていうと面白いからっていうのもあるんですけど、そのおかげでほんとうに人間にしかないものが見える、集中できるっていうのがあって。科学で人間や社会の仕組みが色んな方法で解明されてるけど、それでもよくわからない人間固有のものが出てくる。出てこないという考えの人もいて、それはそれで面白いんですけど、一旦出てくるとします。

プログラミングは元々人間がやっていた計算という仕事を代替した。人間の仕事を引き受けてくれたんですよね。でも例えば仕事をコンピューターとか機械に任せても、僕らのオーナーさんが作ってるようなめちゃくちゃ美味いカヌレはできないじゃないですか。カヌレをめっちゃ美味くするという人間にしかできない仕事に、人間が集中できるようにする技術があると思っていて、そういう意味で技術が好き。

仕事にもそれを当てはめて、人間にしかできないことになるべく集中できるように意思決定を自動化するとか、そういうのをやっていくのが重要なんじゃないかな、それをどれだけやれるかで生産性って変わってくるな、とよく思ってますね。だから自動化にこだわるのはエンジニアとして正しいあり方だなと常々思っています。

 

えん:藤村さんと話してると自動化って言葉をよく聞きますね。

 

藤村:意思決定しないといけないことが発生するのはよくないというのはあって。迷うこととか。迷ったらその時点で意思決定が発生するんですよ、どっちにするか決めないといけないんで。こういうのもよくない。僕はソースコードのフォーマットをきちんとすることにこだわりがあるんですけど、なんかイメージ分かります?改行がずれてるとか。

 

えん:あーわかります。

 

藤村:僕は超気になるし、すぐに直すんですけど。なぜかというと、あれがあると迷うんですよ。これ直そうかな、直さないでおこうかな、直すのは今回やると内容ブレちゃうからそのままにしとこうかな、でも気になるなぁ、別にして直そうかなとか考えている時点でコーラ1杯分くらい消費していると思うんですよ。いや、そんな消費してないか。

 

えん:(笑)

 

藤村:でも人間の意思決定できる量が有限だとしたら、それでもう使ってるじゃないですか。

 

えん:たしかに。

 

藤村:そんなんだったらカヌレ食べるか食べないかで悩みたいじゃないですか。だから、コードフォーマットが揃ってると意思決定が減るので、すごい重要。例えばそれが合ってないことで悩んでいるとしたら、潜在的にはものすごい生産性を阻害している気がする。それを見る度にみんな迷うわけじゃないですか。それってもったいない。それが当たり前になっちゃうと気付かないんですけど、実はすごい量の社会にある富を消耗してるんじゃないかって気がしていて。

 

えん:たしかに。

 

藤村:命名にやたら細かいのもそれですね。あいまいな用語や微妙に合ってない用語を使うとひっかかるじゃないですか。そのひっかかり自体が、人類の貴重な今日用意されている意思決定の量を削っているわけですよ。そう思うと重要だなって。

 

えん:私はコードを書かないですが、わかる部分がめっちゃあるなと思いました。悩んだ瞬間にそこからスタックして先に進めないみたいな。

 

藤村:ひっかかった瞬間に、頭に積んであったものがちょっと落ちるじゃないですか。

 

えん:たしかに。フォルダの分け方とかもめっちゃ気になるんですよ。

 

藤村:そうそうそうそう。あとは箇条書きのインデントレベルが微妙に意味合いが違うのもすごい気になる。これはただ単に僕が異常に細かいっていう話もあります。

 

えん:(笑)

 

藤村:マーク・ザッカーバーグだっけ?毎日の意思決定を減らすために同じ服を着てるのって。

 

えん:スティーブ・ジョブスもそうですよね。

 

藤村:一方ジャック・ドーシーはおしゃれじゃないですか。そのあたり、人間として大事にしているのが人それぞれ違うっていうのは面白いですよね。

 

えん:そうですね。では、生産性の話のまとめをお願いします。

 

藤村:まとめると2つあります。自分の生産性をあげるものに定期的に投資していくことが重要というのと、人間の判断は有限なリソースで、人間が仕事をする上でもっとも貴重なリソースなので、それを使わないといけないところをなるべく減らそう、減らすといいみたいな感じですね。人間にしかできないことに集中できるようにしたい。

 

えん:めちゃくちゃ簡潔なまとめですね、ありがとうございます。私も明日から中長期のパンづくりマシーンのことと、パン作りのことを考えながら仕事をしていきます。

 

藤村:そうですね。いやーこれ、素朴にパン作っちゃったわーって反省ができるとよいと思います。

 

えん:素朴にパン作りがちかもしれないです、ちゃんと考えよ。自動化っていう言葉も脳内に入れて過ごします。

 

藤村:そうですね。

 

#論より動くもの で感想を教えてください

えん:ハッシュタグをつけて投稿していただくと、もれなく私がめちゃくちゃみなさんの投稿を見ますっていうことをお伝えしたいので、ハッシュタグの紹介をお願いしていいですか。

 

藤村:ハッシュタグはそのままなんですけど、#論より動くもの にしようと思います。ここ笑ったわーみたいなのをシェアしていただけると僕はめっちゃ嬉しいです。

 

えん:私もとても嬉しいです。疲れたときには「論より動くもの」ってエゴサして、今まで感想を見てたんですけど、ハッシュタグを付けていただくと私のこのエゴサがもうちょっとはかどりますんで。

 

藤村:そうですね。ツッコミどころは多いと思うので。

 

えん:みなさんのツッコミ知りたいですよね。

 

藤村:知りたい。ここの話は冗長じゃないかとかそういう話を聞きたい。

 

えん:いろんなご意見お待ちしております。

 

藤村:お待ちしております。

ということで、論より動くもの.fm、今回は生産性の話を技術広報のえんじぇるさんとお届けしました。

 

えん:ありがとうございました。

 

藤村:ありがとうございました。(完)

 

 

次回の更新をお楽しみに!