hey Product Blog

こだわりを持ったお商売を支えるプラットフォーム「STORES」の開発チームによる技術ブログです。

マネジメントの面白さと喜び【#8 論より動くもの.fm】

CTO 藤村がホストするPodcast、論より動くもの.fmの第8回を公開しました。今回はモバイル本部のシニアマネージャー坂田と、マネージャーの仕事について話しました。

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間接マネジメントの仕事って面白いんですか?

藤村:こんにちは、論より動くもの.fmです。論より動くもの.fmは、heyのCTO藤村が技術や技術に関係ないことについてざっくばらんにお話しするPodcastです。今日はheyのモバイルチームのシニアマネージャー、つまり各チームのマネージャーを見ている坂田さんに来てもらってます。坂田さん、こんにちは。

 

坂田:よろしくお願いします。

 

藤村:坂田さんの自己紹介を聞いてみようかなと思います。

 

坂田:坂田と申します。heyはモバイルのプロダクトがいくつかあるんですけど、その開発チームが集まっているモバイル本部のシニアマネージャー、いわゆる本部長をやっています。

 

2021年9月にモバイル本部ができて、そのタイミングでシニアマネージャーになりました。今の立場的にはプロダクト開発には関わってなくて、日々の開発は各プロダクトの開発グループのマネージャーとメンバーに任せています。

 

けれども、モバイルの開発ってiOSAndroidも毎年新しいOSが出て、新しい機能が増えたり、App Storeのレギュレーションが変わったりと、モバイルという技術領域で共通して取り組まないといけないことがちらほら出てきます。その全体の取りまとめや、モバイルの開発に向けてより良い環境を作るための改善をやっています。

 

藤村:プラットフォームの様々なものに対応するために、足並みを揃えなきゃいけないっていうことか。

 

坂田:そうですね。昨今だとAppleが特にプライバシー周りを厳しくケアしようとしていて。App Storeのレビューのガイドラインが変わった時に、あるチームは気付いているけど、他のチームは気付いてなかったみたいなことが起きると、ある日突然特定のアプリだけストアに出せなくなる。そうすると、事業全体としてリスクなので、情報共有をなるべく横で協力してやってけるようにするのはひとつ大事なテーマだとは思っています。

 

藤村:エンジニアのマネージャーで想像しやすいのは、自分もエンジニアでチームのメンバーがいて、それでマネージャーをやる。直接エンジニアのみんなと一緒に働くマネージャーみたいな感じが典型的ですけど、坂田さんってそうじゃなくてエンジニアのマネージャーのマネージャーってポジションじゃないですか。間接マネジメントと言われることもある仕事ですけど、面白いですか?

 

坂田:面白くないです、とはこの場では言えないんですけど(笑)確かに難易度は高いなと日々感じています。僕がシニアマネージャーになった経緯が特殊かなと思っていて。heyに入社したタイミングで特定の開発チームにいたわけでも、ステップを踏んで上がってきたわけでもなく、モバイル本部ができるタイミングでいきなりシニアマネージャーになりました。開発のコードを全く触っていない状態のままで、マネージャーになったところがあって。各プロダクトのシステムや事業を完全に把握しているかというと、まだまだそんなことはない。まだわからないことがある中で、その時々で必要な意思決定やマネジメントをしなきゃいけないのは、率直に言って大変です。

 

その一方で、間接マネジメントって楽しいんだっけ?みたいなところで言うと、僕自身はすごく楽しめています。hey自体プロダクトがいくつかある、モバイルのプロダクトも複数あるので、今の立場であれば全体を底上げすることができる。いい意味で自分の影響範囲や責任が広いので、自分の動き次第で、大きく影響を与えられるのは楽しめているポイントですね。

 

藤村:マネージャーのマネージャーみたいな仕事をしている時に、コードを書いたり、コードを書いているチームのマネージャーをやっている時と違うと思うのは、何かをやって効果がでるまでにより時間がかかるところかなと。より時間がかかるけど、大きなインパクトが出る。やっていく上で、ストーリーを整えてあげないといけない部分や状況を作らないといけない部分は現場のマネージャー以上に大変。そのあたりが現場マネージャーとマネージャーのマネージャーの大きな違いかなと。

 

坂田:そうですね。シニアマネージャーをやっていて意識しているポイントは、目の前にある短期的な活動自体はメンバーやマネージャーに任せる。シニアマネージャーの立場で考えるのは、半年後や1年後、ある程度時間がかかる投資的活動に対して、先んじて手を打っておくことを意識しています。時間はかかるけど、その分コツコツとやってきたことが花開く瞬間がめちゃくちゃ気持ちいい。この楽しさが、一番大きいポイントかもしれないです。

 

藤村:これ多分、世の中で言われる戦略ってやつですよね。

 

坂田:そうですね、戦術じゃなくて一段階上の戦略っていう感覚に近いですね。

 

藤村:戦略レイヤーの仕事をするのは大変だけど、やっぱり面白いですよね。うまくいった時のよしよしっていう感覚とか。安堵すると同時に、やっといてよかったでしょって自分で自分にいうみたいなのは。

マネジメントもエンジニアリングである

藤村:坂田さんに、エンジニア組織のバリューで好きなのはどれって聞いたら『役割を超える』って言ってて。

テクノロジー部門のバリュー

天邪鬼でエンジニアらしくないエンジニアを目指したいって言ってたんですけど、それで言うと何なんですかね。戦略的な仕事がうまくいって楽しいっていうのはエンジニアの枠は超えてるじゃないか。

 

坂田:そうですね。何かコードを書いて作るという行為からは離れてはいるので、エンジニアっぽいエンジニアではなくなってますよね。

 

藤村:そうしたら、僕らは何をやってるんでしょうね。

 

坂田:自分がコードを書いて、納得するプログラムを書いていても、事業自体がうまくいかなくて、楽しかったチームや会社がなくなってしまう経験を僕はしていて。コードを書く以上に価値のあること、もっと必要なことがある。コードを書く行為に縛られていると大局を見間違えることがあると思ったので、『役割を超える』っていう価値観を持っています。

 

で、何をやってるんだろ、これはエンジニアなのか?みたいなところはあるんですけど、一方でプログラムを書くことだけがエンジニアだっけ?って言うと、そうは思わなくて。エンジニアリングって、数学や物理などの自然科学の力によって社会的な課題を解決するとか、物事をよくすること。別にコードを書くこととは、必ずしも一致してないと思うんですよね。

 

組織がやりたいことに対して計測や分析をして、何を改善すべきか原因を追求して突き詰めて、それに対してアプローチして物事をよくしていく。その方法論自体は組織をマネジメントする立場でも重要だと思っていて。自分の感覚だけでやるのではなく、エビデンスを集めながら、今はここをちゃんと改善しようと取り組むことは、僕はエンジニアリングの考え方そのものかなと思っています。

 

藤村:現場のエンジニアリングマネージャーをやっている時よりも、より構造や仕組みでものを考えないといけないレベルが上がりますよね。

 

坂田:そうですね。抽象度を上げていかないとだめでしょうね。

 

藤村:エンジニアリングであるっていうのは僕もその通りだと思った。

 

坂田:プログラムを書く感覚ではもちろんないんですけど、チームの体制やメンバーのアサインを考える時も、個別の名前やスキルで考えるのではなく、ロールなど抽象した上で考える。組織の構造を考える時も、クラス設計ではないですけど、構造によってどういうメリット・デメリットがあるかを考えながらやっていく。プログラムに近い発想を頭の中ではしてる気がしますね。

 

藤村:設計に近いですよね。

 

坂田:そうですね、設計行為をやっている気がします。

 

藤村:組織のところは、マジでそういうところありますよね。

 

坂田:ありますね。もちろんやっていてメンバーと向き合うという意味で、感情労働的なこともなくはないですけど、感情自体は別にいやなものではなくて、一定必要なものだと思っています。逆に感情だけで組織が動かないようにするために、ちゃんと設計しておくことは必要だと思っているので、そういう意味でいうと、むしろエンジニアっぽい活動をずっとやってますね。

 

藤村:面白いですよね。エンジニア観点から見ても、マネージャーのマネージャーというのは、エンジニアをやっていて、この設計がうまくいったみたいな喜びに似てるものがある。

 

坂田:僕はずっとモバイルやフロント側のエンジニアをやってましたけど、もしかするとインフラというか、アプリケーションが動くプラットフォームを作る側の人たちはそういう風な考えでやっているのかもしれないですね。

 

藤村:DevOpsをやってる人とかすごい近いだろうな。無印良品ってすごいマニュアルを作るんですよ、ムジグラムっていう。『無印良品は仕組みが9割』って本に載ってて、すごい面白い本なんですけど。

 

そういうマニュアルを手でやらないで機械でやるようにできるのがエンジニアリングの自動化のよくあるパターン。デプロイパイプラインをどうするかみたいな、そういうのもあるじゃないですか。全部を手でやっていたのをこの部分から機械化して、ここも機械化してみたいな。DevOpsやWebオペレーションズと言われてるところとマニュアル作りはなんか似てるところがあるなって最近思っていたりします。

 

坂田:結局、人が運営している会社であり、組織だと思うので、人を排除することはできない。人が関わるところに対して、めんどくさい仕事をいかにコストを下げるか、ルール化だったり、そういうことを考えるって言うのは、まさにマネージャーをやったり、組織づくりをやることの醍醐味な気がしますね。

 

藤村:あとは、そもそもこれ何なんですかって話をちゃんと自分でできるようにするのも重要かなと。この事業って何のためにやっていて、どういうものなのかは自分の言葉で語れないといけないし、それを支えるためのシステムやソフトウェアは何が重要で、何をこれから備えていかないといけないのか。作る上ではどういう要素を重視するのかは自分で語れないといけないんだろうなって最近よく思ってる。

 

僕はesaを書く時に、一番最初に「これなに」ていうセクションを入れるんですけど、「これなに」をちゃんと言えるようにならないといけないねってよく思います。

 

坂田:確かに。立場的には中間管理職なので、自分が全て決められる立場ではない。一方で対メンバーだと、経営陣より近い存在で、コミュニケーション量が多いわけですけど。

 

経営陣やリーダーが話すプロダクトのビジョンをそのまま伝えることも大事だとは思うんですけど、自分の中に納得度高く落とし込まれた、自分なりに考えたエピソードや価値観を持っていないと、メンバーに動いてもらうにしても説得力が上がってこない。それは自分なりに事業や会社は何の意味、価値があるのか、どういう組織にしたくて、みんなにどう動いてほしいのかを自分なりの言葉にすることは意識してますね。

 

藤村:CTOという立場からすると、事業やビジョンに対して、モバイルチームではこういう風にやっていこうと、坂田さんやみんなが翻訳して再解釈して自分たちで自己定義するわけじゃないですか。そのフィードバックを受けて、元の定義も少しずつ進化していくところもあるんだよなって。

 

坂田:経営陣が考えてる事業、ビジョンを実現していくのも会社の運営としては大事だと思うんですけど、必ずしもメンバー1人1人がすべてそれに一言一句違わず、完全一致で活動していく必要はないと思っていて。

 

マネージャーやメンバー1人1人のずれた思いが入っていくことによって、経営陣自体も描かなかった膨らみ、広がりが生まれる余地がある。自分では想像できなかったところに世界が広がっていくことが人が関わる価値だと思うので、自分の中に事業やビジョンを落としこんで、自分の考えを会社にあててみて、広がりを作っていくっていうのは組織としてやるべきこと。それが会社をより楽しむ方法なんじゃないかなとは思います。

 

藤村:そうまさに。喜びのひとつですよね。あ、そういうこと?それもらっていいですか?みたいな広がりが出てくる。みんながいることで自分たちが思っていたものよりもさらに可能性が広がっていくのはマジで気分がいいですよね。

 

坂田:メンバーの方がより面白いアイディアを持っていると面白いですよね。

 

藤村:まとめに入ります。マネージャーのマネージャーの喜びは戦略的な仕事の部分。戦略の仕事って本当にやらないといけないし、やると成果が出る。あと、1人で働いていると生まれない広がりがあるのが間接マネジメントは面白いよねっというところで、今日は締めでよろしいでしょうか。

 

坂田:いいと思います。

 

藤村:論より動くもの.fmはこんな感じで終わろうと思います。今日はモバイルチームのマネージャーをやっている坂田さんとお話しました。坂田さん、ありがとうございました。

 

坂田:ありがとうございました。(完)

 

 

次回の更新をお楽しみに!