STORES Product Blog

こだわりを持ったお商売を支える「STORES」のテクノロジー部門のメンバーによるブログです。

いつの間にか充電が切れているカードリーダーの使い辛さを改善する

こんにちは。heyで STORES 決済 の Androidアプリ開発をしている Yamaton です。去年のアドベントカレンダーでは、カードリーダーを 圏外にするために奮闘 したりしていました。

STORES 決済 の開発では日々、お客様からいただいたご意見(Voice of Customer=VoC)に対する施策や、パフォーマンスが改善された社内APIの切り替え、新機能の追加などを行っています。この記事では、私自身が開発している中で感じていたカードリーダーの使い辛さと、それを改善したことについてお伝えします。

開発の中の使い辛さ

いつの間にか電池が切れてる

電源OFFから起動すると、「起動中」の時間が体感とても長く(1〜2分)、必要なタイミングですぐに使えないのがもどかしいです。そのため、普段からスリープ状態で置いておくのですが、それが続くといつの間にか電池を消費して電池切れからの電源OFFになっています。

前回電源OFFにしたかな、と思いながら電源ONすると、流れるように電池切れ表示になる

Micro USB Type-B(USB 2.0)

世の中のデバイスにUSB Type-C対応の物が増えて久しいですが、 STORES 決済 で対応しているカードリーダーは Micro USB Type-B(USB 2.0)仕様です。作業環境には USB Type-B の充電専用電源を用意していますが、数に限りがあるのでカードリーダーを常に挿しておくことはできません。また、抜き挿しを繰り返すことで摩耗し、いつの日か認識しなくなるかもしれない不安もあります。小さなストレスや不安を無視し続けるのは良くないので、解決方法を探しました。

裏表がある上に、「カチッ」となるまで挿す必要がある

同じような悩みを解決するソリューションがあった

充電のたびにUSBケーブルを抜き挿しし、摩耗によって認識しなくなる不安を抱えている、もっと身近な存在がありました。スマホです。そしてこれを解決するソリューションを2つ見つけました。

  • 1つ目は、マグネット式の充電ケーブルです。 これは、コネクタ部分とケーブル部分が分割されていて、それをマグネットで接続するものです。
  • 2つ目は、Qi(チー)です。 これは、ワイヤレス給電の規格で、AndroidスマホのNexus4〜6などで採用されていました。

マグネット式は、毎回ケーブルを持ってコネクタ部分に接続する、というのが手間に思えたので、Qiを採用することにしました。

ワイヤレスで充電するために用意したもの

ワイヤレス充電するためには、Qi規格の給電ベースと電力を受け取るためのワイヤレスレシーバーが必要です。給電ベースは、平置きするタイプや、スマホなどを立てかけた時に画面が見やすいスタンド型などがありました。ワイヤレスレシーバーもいくつか種類がありましたが、繋げていることを意識したくなかったのでシートタイプの物を選びました。

Qi規格の給電ベースとワイヤレスレシーバー(左:パッケージ、右:中身)

1点、注意すべき点があります。USB Type-B は裏表があるので、購入するワイヤレスレシーバーのコネクタ部分がL字型になっている場合は、どちら向きかを確認しなければなりません。逆向きの物を買ってしまうと、ケーブルが無理な方向に曲がるので劣化を早めてしまいます。

USBコネクタ部分の向きを確認

給電ベースの電源にも注意

今回試した給電ベースは、Ankerというメーカーのものです。この給電ベースが正常にワイヤレス給電するためには、「Quick Charge」という規格の2.0または3.0に対応した電源が必要でした。偶然、Quick Charge 3.0 に対応した充電器が手元にあったので、これを給電ベースの電源として使うことにしました。

丸とカミナリを組み合わせたマークがQuick Charge対応のアイコンです

ワイヤレス充電成功

カードリーダーの背面にワイヤレスレシーバーを貼り付け、給電ベースへ置いてみたところ、無事に充電が開始されました。(カードリーダーの画面右上の電池アイコンが充電中に変化しました)

無事、ワイヤレス充電できました

ここまでやって、ふと手元にあったガジェットに目をやると、モバイルバッテリーの1つに Quick Charge のアイコンがあることに気づきました。

モバイル+ワイヤレス充電も可能

Quick Charge 2.0 規格対応のモバイルバッテリーを給電ベースの電源として接続し、ワイヤレスレシーバーを貼り付けたカードリーダーを乗せてみます。

モバイルバッテリーでもワイヤレス充電

モバイルバッテリーでワイヤレス充電できたところで、何か嬉しいことがあるのかというと、エンジニアとしてはあまりないかもしれません。仕様に合ったデバイスが揃っていたので、組み合わせてみたくなりました。

ただ、これがオーナーさんが実際に使う場合は違うかもしれません。実店舗ではコンセントから電源を取ることができます。しかし、イベントへの出店などで会場のコンセントが使えない、発電機からの電力は他に使いたい場合は困ります。そんなとき、モバイルバッテリーでワイヤレス充電できれば、USBケーブルの抜き挿し無しに決済と充電を切り替えることができます。STORES が協賛した「ヨコハマハンドメイドマルシェ」のようなブース出店で使えるかも、と考えたりしました。

おわりに

開発時のストレスであった充電切れを解消できて、個人的にはとてもQoL(quality of life)ならぬQoD(quality of development)が上がったように感じています。この記事が、同じように充電切れの周辺デバイスに困っているモバイルエンジニアの方々の助けになれば幸いです。

Bluetoothバイスと連携したアプリの開発や、heyのモバイルエンジニアのプロダクトへの向き合い方に興味がわいた、という方がいらっしゃいましたら、ぜひMeetyや採用サイトをご覧ください。

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